NPOころんの防災体験

紀南Good

防災はモノをそろえるだけじゃない〜NPOころんの防災体験〜

水に食料、薬、懐中電灯やランタン、簡易トイレ、ポータブル電源…
年末に、重い腰をあげて防災グッズの確認をしました。
そこそこの時間をかけて、ネットで調べ、リストを作り、グッズを購入。

想像を超える量の防災グッズを前にすると、もし災害が起きたら数日過ごすだけでもこんなに不足するのか、と改めて備えを見直す必要性を感じました。

しっかりと整えたつもりなのに、まだ何か足りない気がします。でも何が足りないのかまでは思い至りません。なんとなくスッキリしないものを感じていました。
そんな時に知った、認定NPOころんの防災体験。
何か掴めるかもしれないと思い、参加してみることにしました。

認定NPOころんの防災イベントとは?

ころんは、特性をもった子どもたちの放課後等デイサービスや児童発達支援を行っている認定NPOです。

ころんでは、平成29年度から防災イベントを年に1回開催してきたそう。事務所で50人分の備蓄を行うなど、防災意識の高さがうかがえます。利用者さんとそのご家族はもちろん、地域の人たちと一緒に防災について考える機会をと、防災イベントを企画しているとのこと。

今回は彦五郎公園で防災体験を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止。イベントの規模を縮小して、ころんの運営する「ヒコゴロン」というスペース&ショップで防災体験を開催してくださいました。

みんなでわいわい!意外にもそこが肝な防災食の試食。

防災食のパッケージ

まずは防災食を体験してみよう、とスタッフの方が持ってきたのはみかん箱サイズの段ボール箱。50人分の「わかめご飯」が作れるキットです。

どんな風にご飯が入ってるんだろう。

わくわくしながら銀色の袋を開けると、まず入っていたのは、容器やスプーン、輪ゴム、手袋、包装の封を切るための簡易カッター、わかめの小袋。なるほど、よく考えられています。緊急時には確かに必要ですね。

その下の大きな袋の中に、大量のお米。当たり前ですが、そのまんま入っていることに驚きました。

作り方は8Lのお湯を注ぐだけ。袋に線が印刷されていて計量しなくてもいい工夫もしてあります。とはいえ8Lのお湯はなかなかの量、、、大きめのポット2つで沸かしましたが、足りず。また沸かして追加しました。その間もお米が水分を吸っていくので、出来上がりが少し不安でしたが、結果大成功でした。失敗しにくいのも緊急時は必要な要素かもしれませんね。

そして完成したわかめご飯を、スタッフの方々と一緒にいただきました。

防災食のわかめごはん

時間をかければ水でもできるそうですが、お湯で作って正解。ほかほかの温かさにほっとします。

お味は「いつものわかめご飯」。言われなければ防災食と気づくことはなさそうです。それに、インスタントのお味噌汁と一緒にいただいたのも正解でした。きっと、災害時は気持ちが落ち着きません。そんな時の温かい食事は、一息つくためにとても必要なことだろうなと想像します。早速、我が家の防災グッズにもインスタント味噌汁を足すことに決めました。

「これなら普段のご飯で出されても悪くないですね」「味噌汁があるとほっとしそう」「この地域は助け合いがまだまだあるから素敵」

ころんのスタッフの方々とのお話をしているうちに、不思議と防災対策への焦りが少し落ち着いたように感じました。食事をしながらのお話ですので、大した内容ではありません。しかし、「話す」「聞く」を繰り返すことで、確かに気持ちが落ち着いていきます。

自分の考えや体験を話し、また他の人の考えや体験を聞くことで、防災への知識や気づきが増えるのはもちろん、それを通して信頼関係が少しずつ構築されていくこと、共感することが、安心につながるのだと思います。

私の防災への対策で足りないのは「家族や近所の人たちとのコミュニケーション」なのかもしれない、と気付かされました。

自分で体験してみるという大切さ。パラコードのブレスレットを編み直してみる。

ほどいたパラコード

パラコードとは、パラシュートに使われる丈夫な紐のこと。倒壊した柱や家具を動かしたり、担架で人を運んだり、溺れている人を助けたり、といった救助や、避難所で物干しを作ったり、袋や土嚢の口を縛ったり。紐って色々使い道がある割に、代わりになるものがなかなか見つかりにくいものだと思います。ころんのスタッフの方がいつもつけているのをみて、わたしもいつも持ち歩くカバンにつけるようになりました。

「これ、一度ほどいたら編み直せないんですよね」とスタッフの方に漏らしたら、急遽、編み方を教えていただけることになりました。

コツを掴むまでは悩ましいですが、わかってくるとモクモクと集中する楽しい時間になりました。慣れてくるといろんなことを考えます。「実際に使うときのロープの結び方も覚えておいた方がいいな〜」とか「子どもたちのランドセルにつけておいたら使えるのかな?」とか「家ならロープを保管して置けるけど、車の中にも入れておけばいいかもしれない」など色々。

編み上がったパラコード

防災こそ、ゆったりと考え、会話しよう。

よく考えたらこんなにゆっくりと考えたことはないな、と気づきました。

「防災のことを早くやらなきゃ!」と思うがあまり、形ばかりになっていたかもしれません。ゆったりとしたゆとりを持って、できるだけ想像してみること。それもわたしの防災対策に欠けていたことかもしれません。

防災に大切なのは物だけではない。

ころんは、そういう場づくりを考えているのだと思います。

防災体験に参加している間も、ご近所の方が散歩にいらしたり、彦五郎公園に遊びに来た家族がいらしたりと、ゆるゆるとつながっている様子がみられました。こうした小さな日々の積み重ねが、災害から子どもたちを、そして自分自身も守ってくれるのだと思います。

「防災!」と肩肘をはらずに、できるだけゆったりとした時間をとって、周りの方たちと一緒に考えていきたいと思います。またころんの防災イベントがあれば、今度は家族とゆるゆると参加してみたいと思います。

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