「必要なフォローってどんなもの?」紀南Knit!#22開催しました。
就職先やアルバイト先で職場に馴染めない。仕事がうまくこなせない。続かない。
いわゆる発達障害のグレーゾーン、グレーゾーンに該当しないがその傾向にある人々は、やる気や体力はあるのに、職場で働き手として活かしきれていない。必要なフォロー・サポートさえあれば、十分力を発揮できる環境が農業にもあるのではないか。
そんな風に考えるのは今回のゲスト株式会社アグリナジカンの山下丈太さん。京都府和束町から移住し、和歌山県みなべ町で全国の農家さんと農業に携わりたい人を繋げる「援農」事業を行っています。
今回は、環境次第で十分働ける人たちが農業で働ける環境にするためには、どのようなフォロー・サポートが必要なのかをみんなで考えてみたいと思います。
農業の現場での可能性
紀南地域で生活しているとよく「梅の収穫が始まった」「これからみかんの時期」など、農家さんの繁忙に合わせたアルバイトの話をよく耳にします。期間は2ヶ月、3ヶ月と短い間ですが、その間は非常に忙しくかつ、重労働。農家さんも若い体力のある人材を求めています。単純作業が多いので、複雑な手順の仕事が苦手な人や黙々とこなす仕事が好きな人にとってはやりがいのある仕事です。山下がんの元に相談に来た人の中には、そのような仕事に向いていそうな人がいるとのこと。
実はやることがいっぱい
農業の期間アルバイトは繁忙期に合わせて全国の農家さんの元を移動していきます。必然的に生活は住み込みやシェアハウスなどで行うことに。仕事以外でも自分で炊事、洗濯、掃除、他の住人とのコミュニケーションなど、生活面でもやらなければならないことがあります。発達障害の傾向にある人は、環境が変わることが非常にストレスになるそうです。受け入れ先の農家さんの理解以外に仕事、生活面のサポートが必要になってくるでしょう。
必要なフォローとは?
発達障害の傾向と言っても、症状の程度や内容も人それぞれ。今回はある程度のフォローがあればシェアハウスに入居して生活できる人。また、ある程度のお給料を担保するために仕事を簡単にしない、という前提で話をしました。
⚫︎生活面(シェアハウス内)のフォロー・サポート
・寮母さんがいる
帰ると誰かがいてくれるという安心感。
・共同生活の細かいルールを作る
自分でできることを増やす。
・困った時に相談、何か話したい時に話せる空間
いつでもシェア、フィードバックできるように。
⚫︎メンタルケア
・カウンセラーなど専門家をおく
対面が苦手な人にはSNSやチャットなどを活用
大学のカウンセラー志望の人(費用を抑えられる・学生にとっても研究の場になる)
ワーカーさんだけでなく、農家さんからの相談も受け付ける
⚫︎仕事面のフォロー・サポート
・働く前にオリエンテーリングの場を設ける
仕事のイメージ動画を観てもらう。年単位での支援計画などを知ってもらう。
・体験の期間を設ける。
1年目は体験にとどめる。仕事、生活ができるか考える機会にする。
・NPO、学校、保護者、ソーシャルワーカーに協力してもらう
体験後もすぐワーカーさんと農家さん同士で契約するのではなく、NPOなどある程度従属的な所属の元から農家さんへ派遣する。
農家さんにワーカーさんの特性を知ってもらう時間を設け、コミュニケーションの仕方、得意・不得意などを支援者や保護者から話をしてもらう。
・二人でひとつの仕事を担当する
負担が大きいと感じる人には、仕事や家事を1日の内で午前中と午後で交代するなど、一人で抱え込まないようにする。
3チームから発表がありましたが、充実したケアと段階を踏んだプログラムのアイデアが出てきたのは共通しています。
社会でうまく行かない状態は本人の自信を失くし、社会との繋がりも絶ってしまいがちです。ゆっくりでも生活と仕事の基盤を作ることは自立に向けた一歩だと感じました。
本日のおやつ
今回のおやつは京都府和束町の和束カフェのお茶のチョコレートと和束茶。山下さんがみなべ町に移住する前に携わった商品たちです。
お茶の産地である和束町。昼と夜の寒暖差で霧がお茶畑を包み、日光を遮ることで上質な茶葉になるのだとか。温度が低めのお湯でゆっくり丁寧に淹れたお茶は甘い!おいしくておかわりしてしまいました。
抹茶チョコとほうじ茶チョコはそれぞれお茶の風味がよく出ていてお茶請けにぴったり。私はほうじ茶チョコが好きかな?