ただの洞窟じゃない。ダイナミックな自然と歴史ロマンを体感できる三段壁洞窟
南紀白浜 三段壁洞窟 さんだんべきどうくつ
テレビのインタビューで「今までで一番印象的な崖はどこですか?」と聞かれ、「白浜の三段壁です」と答えていたのは”サスペンスの帝王”と紹介されたある俳優。
え?なぜ?他の崖と何が違うの?
崖はサスペンスドラマで主人公が犯人を追い詰め、事件の種明かしと犯人の自白の場として使われることが多いです。ドラマのクライマックスの舞台として重要な場所。
その俳優は、撮影で全国の崖を回ったはずなのになぜ三段壁を選んだのか?
理由をこう答えていました。
「三段壁の下に大きな洞窟があって、そこへ降りることができるんです。この洞窟が面白いんです」
どうやら崖だけではなく、三段壁洞窟の印象が強かった様子。
三段壁は高さ50mにもなる断崖です。
展望台からは切り立った崖と太平洋の大海原を見渡すことができ迫力満点。
そこからどうやって洞窟に降りるのか?
実は展望台のすぐそばにある建物が三段壁洞窟への入口。
なんと崖の上からエレベーターで降ります。降りる高さは36m!
エレベーターの扉が開くとすぐ、波の音が洞窟内に響いてゾクゾクします。
三段壁洞窟は波の力によって崖が削られ出来た「海蝕洞」と呼ばれる洞窟です。
他にも白浜にある円月島の穴もそうですし、イタリア・カプリ島にある青の洞窟も海蝕洞です。
気の遠くなるような年月をかけて少しずつ削られて今の形になったのですね。
荒々しい波が洞窟内に打ち寄せ、白波を立てて砕け散る様子は迫力満点。
この洞窟には平安時代に熊野水軍が船を隠したという伝説が残っています。
熊野水軍とは、紀伊半島南東部や熊野灘を中心に海に面した地域を拠点とした勢力のこと。
熊野海賊と呼ばれることもありますが、一般的なイメージの船を襲って略奪などを行う海賊というより、支配下にある地域の治安維持や軍隊としての機能が強く、源平合戦では源氏に加勢し活躍したことでも知られています。
洞窟内には熊野水軍の番所小屋が再現されていて、当時の生活道具などが置かれていますが、、、湿度100%の洞窟内で生活するのは大変だったに違いありません。
しかもこんな波が強く打ち寄せる洞窟に本当に船を隠すことが出来たのでしょうか?
あくまで伝説なので真偽の程はわかりませんが、歴史のロマンを感じさせますね。
ロマンといえば熊野水軍伝説だけではありません。
洞窟内には興味深い地層があります。
漣痕(リップル)と呼ばれる天井にある模様。
これは大昔の波や水が流れた跡が長い年月をかけて化石となったものです。
同じ白浜にある江津良海岸でも蓮根が見られ、こちらは国の天然記念物に指定されています。
しかし三段壁洞窟のように、天井に現れるのはとても珍しいのだそう。
洞窟に打ち寄せる波の迫力に目を奪われがちですが、ぜひ天井にも注意を向けてください。
大昔の白浜も今と同じように波が打ち寄せていたんだなぁとか、なぜ水の下にある波の模様が天井に現れるのだろうかなど、壮大な地球の営みに思いを馳せずにはいられません。
ちなみに沖縄付近に台風が発生していると、洞窟内にとても迫力のある波が打ち寄せるそうですよ!
- 電話番号
- 0739-42-4495
- 定休日
- 年中無休(12月中旬に洞内点検のため臨時休館する場合あり)
- 営業時間
- 8:00~17:00(最終入場 16:50)
- 駐車場
- 有(無料)
- 三段壁洞窟(sandanbeki cave)
- sandanbeki_cave