「ANCHOR Retreat Program」開催!感性を磨く体験プログラム〜アートにふれる〜
2022年11月、和歌山県白浜町のサテライトオフィスANCHOR(アンカー)で「感性を磨く週末2日間の体験プログラム〜アートにふれる〜」が開催されました。
ビジネスにおいて既成概念や固定観念を打ち砕くことが必要とされることが増えてきたように思います。そこに必要なのは、アーティストが作品を生み出す過程の「アート思考」かもしれません。プレッシャーにさらされ追われている時間から抜け出し、ゆったりとした時間の中で自分自身を表現をするということは重要な要素です。
ビジネスパーソンのためのアート×リトリートのプログラムが企画されました。参加者は総勢28名。主に大阪の企業に勤めている方が参加し、思い思いの作品作りに取り組まれました。
都会から離れた白浜でアートに触れてリトリート
イベントを主催したのは、和歌山県・白浜町のサテライトオフィスANCHORを運営するオーエス株式会社。「豊かな生活文化と未来づくり」という理念を掲げ、不動産業やエンタメ・サービス業を主軸に事業を展開しています。
白浜町は大阪中心部から自動車や電車で2時間半ほどの距離で、関西の方は観光として訪れることが多い場所。その白浜町にあり、多様な企業が集まるサテライトオフィスで開催することが、アート×リトリートの効果を高めそうです。
オーエス株式会社と同じく大阪に拠点をおき、企業や自治体の新規事業の立ち上げや運営などを手がけるGONENGO、そして、地方と都市部を繋げる事業に取り組むTETAUが共同で企画運営を担当しました。
アートの世界に導いてくれる溝端さん
「アートに触れる」ための講師として迎えたのは、デザイナー&造形作家の溝端秀章(みぞばたひであき)さん。和歌山県田辺市の龍神村(りゅうじんむら)で暮らし、制作活動をしています。龍神村は、40年前からアーティストの受け入れに積極的で、山に囲まれた自然豊かなところです。そこでアート活動をしている溝端さんのワークショップを体験してもらうことで、新たな気づきを得られると感じ講師をお願いしました。
溝端さんはデザイナーと造形作家という2つの顔をもっています。デザインとアートは似ているようで、そのプロセスは全く異なるもの。2つの要素をうまく活用しながら活動されています。ポスターやチラシ、パッケージなどのデザインとともに、さまざまなワークショップを開催するなどとても意欲的です。
新聞紙で造形する、アートな2日間
アート体験と共に、せっかくならば和歌山を感じていただこうとTETAUが用意した企画は、「温州みかん食べ比べ」。美味しいみかんに出会うためには、見た目だけにとどまらず、推し農家さんを見つけるのも1つの手がかりになることを紹介。TETAUと関わりのある三軒の農家さんの温州みかんを用意しました。
まずは観る。この時だけのANCHOR美術館
参加者同士が自己紹介をし、みかんを食べつつ少し打ち解けたところで、会場であるANCHORの施設内を見学。プログラムの開始前、それぞれの部屋の雰囲気に添う溝端さんの作品を展示しておきました。ANCHORを美術館に見立てるという仕掛けです。
「次の部屋には何があるんだろう」とまるで宝探しのようでした。白良浜をイメージして内装を施したコワーキングルームには亀。新しい入居者を待つ空きオフィスには、溝端さんが龍神に移住した時「新しい何者かに変身する」との思いで作ったタヌキ、キツネ、イタチの作品。
溝端さんの作品コンセプトに耳を傾けるとともにANCHORの施設を見学することができ、実際にANCHORを使うならというイメージも描けたようです。
新聞紙彫刻を鑑賞し創作意欲が膨らんできたところで、いよいよ参加者が挑むアートの時間です。初日はA3サイズの段ボールに絵を書く「段ボールアート」を、2日目は、その絵を元に新聞紙を使った「造形アート」に取り組みました。
溝端さんが作り出す、のびのびとした場の雰囲気
「思いっきり、作品づくりを楽しんでください。」
今回のプログラムで一貫して見えたのは、それぞれの個性を大切にしてくれる溝端さんの大きな器です。「20cmぐらいの鳥を作りましょう」というお題に対して、ほとんどの参加者が小さな鳥を描いたものの、中には、スライムや亀、大きなハシビロコウも出現。
溝端さんによって「アートってなんだか難しそうかも」という先入観が解きほぐされ、のびのびと作品づくりに打ち込める雰囲気が作り出されていました。
「集中することがリラックスにつながるとは」
2日間のプログラムを終え、アンケートに届いた参加者からの感想です。
「普段しない作業に集中することがリラックスに繋がるとは思いませんでした。また、他企業の方と同じ目標を持って作業し交流することが新鮮で楽しかった」
「アートにはその時の気分や自身の状況がものすごく反映されると感じた。今まで全然触れてこない世界だったが定期的に触れてみようと思った」
「時間が限られていることは重々承知しているが、アートの中でもなぜこれに挑戦するのかなどもう少し背景を教えていただけると良かった」
「2日目の時間がタイトで、完成しきれなかったことが悔しかった」
「振り返りの時間があればなおさらよかった。どうしてそれを作ったとか、どこが難しかったかとか、できた作品を囲んで話がしたかった」
「新聞紙造形ワークショップは、ゴール(完成度)が曖昧でリトリートにはぴったりだと思った」
「久しぶりに絵を描くことができて楽しかった」
非日常の時間を過ごし、思い思いの作品を作れた満足感が伝わってきます。これからの企画に反映したい改善点の指摘もあり、運営側としても学びを得ることができました。
非日常の体験から見つける新しい自分
参加者全員が真剣なまなざしで、時には子どものような無邪気な表情を浮かべ作品づくりに没頭しました。
自分の思うままを形にすること、周りの人の作品に触れて新しい気づきを得ること、思ったようにできた喜び、思い通りにならない悔しさ、なんとかするために工夫し最終的には自分の気持ちと折り合いをつけること。
日々の仕事や暮らしの中でも繰り返していることですが、「絵を描き、作品をつくる」という非日常の体験をすることで、また違った角度からの気づきを得られたのではないかと思います。
充実したプログラムになったのは、なにより、溝端さん自身が楽しまれていたことが要因の1つ。参加者の作品を見て、一人一人に声をかけて、心地よい空間を作ってくださったことに心から感謝します。
普段の生活では知り合えない人たちと、伸びやかに取り組むアートの時間。
参加した皆さんの清々しい顔が印象に残っています。