ご参加、ありがとうございました– 通信のこのこ令和7年10月号(第7号)

みんなにおたよりプロジェクト

ご参加、ありがとうございました– 通信のこのこ令和7年10月号(第7号)

センター長あいさつ(藤藪庸一)

昨年、私たちは財政的な理由から、講演会や研修会などの企画を断念して相談支援活動に専念しました。
結果、年間2500件を超える相談や相談に関わる関係機関との連携を数えました。
本年度も同じようなペースでここまで推移しています。

今年は、やはり活動を広げていく意味でも、講演会や研修会、セミナーを、補助金の支援も得て計画しました。
先日は上野晃先生をお招きして、当日は、お陰様で定員50名を超える参加者に恵まれました。
日高地方や東牟婁地方からの参加もあり、私たちの活動が広がってきていることが感じられました。
そして、10月は19日(日)富田中学校の体育館において、当センターの心理士二名を講師に、心身ともにほっと一息つける企画を考えています。
日頃のストレスとの付き合い方、解消の方法として「動作法」を取り上げます。
紹介・解説だけではなく、実際に動作法を体験してみるセミナーとなっています。
改めてぜひ、みなさまのご参加をお待ちしています。

2025年も残り三カ月となりました。
もう一度、私たちは活動の原点に返って、地域の必要、目の前の人の必要に応え、助け手となること。
行政や学校の助けとなること。
自助、共助、公助のつなぎ役になること。
これらを再確認して、自分たちの存在意義を明確に打ち出していきたいと思っています。
どうか、よろしくお願いします。

ご参加、ありがとうございました

のこのこでは、去る9月28日(日)午後に、「子育てセミナー(1)不登校のこころー理解の大切さー」を、白浜町中のクオリティソフト新館で開催いたしました。
セミナーは、「資生堂子ども財団」の助成を受けて開催に漕ぎつけることができました。

当日は、定員50名を超えての会になりました。
講師の上野晃先生のお話の概要を紹介します。

不登校とその背景の理解
不登校は、子どもが心の不安やストレスに直面しないために現れる。
身体症状・精神症状・行動化と多面的に表出する。
背景にある、心の状態を丁寧に見定めることが必要。無理な登校は症状抑制に過ぎない。
根本理解が重要。

行動化と理解
行動化は心的ストレスを表出すること。
家庭内暴力、いじめ、授業妨害等は社会的規範への、攻撃・破壊の方向性を持ち、周囲に迷惑をかける。
背景の心的状態の理解がない対処では再発しやすい。

学習空白への対処の理解
登校しなくても進級できる一方、学習空白が学習の遅れとなり、意欲が低下し、さらに学習をしなくなる循環に陥ることがある。
学習介入は、専門職の助言を受けながら、子どもの心身状態に配慮し段階的に実施していく。
「高熱のこどもに勉強を強いることはしない」という例えが参考になる。

保健室登校の事例からの理解
保健室を拠点に再登校が始まった事例。
養護教諭と担任が日常生活支援と学習支援を提供し、安心安全な場を形成し、対人関係の練習を可能にし、最終的に教室復帰と学業向上につながった。

統計を参考にした不登校理解
学年が高くなるほど不登校の増加が全国的に確認され、とくに小学4年から伸びが大きくなる。
小学6年から中学1年にかけて不登校は約1.6倍に増加している。

思春期・前思春期の理解
思春期は二次性徴の発現により大人の体へ成長する時期で、小学校高学年から高校卒業ごろまで。
直前に、前思春期が存在し、小学校中学年頃から始まる。
近年、女児の開始がやや早期化しているよう。

不定愁訴・情緒不安定の理解
不登校の上位事実(やる気低下、不安・抑うつ、生活リズム不調)は、第二次性徴のホルモン変動と密接に関連する。
身体の医学的異常がない場合でも心理・教育的支援が必要。
保護者や教師がこの理解がない場合、叱責や誤解により子どもの不安・寂しさが増幅し、状態悪化につながる。

9歳、10歳の壁の理解
9歳頃までは、九九、漢字などの丸暗記に強く、学習内容も具体的な内容になっている。
10歳以降は知識統合・思考力が高まることを想定した学習内容に移行するため、記憶ではなく、抽象概念(分数・割合等)理解が必要となり、勉強がわからない子が増える。

前思春期の自我の目覚めの理解
自我が目覚めると自分を客観視し、他者を意識し比較する能力が発達する。
これにより学力差を実感し、劣等感が生じ、学習場面に座っていられない、授業中の立ち歩きなどの行動が増える。
学力保障の介入が行動改善に有効である。

自己肯定感の理解
自己肯定感は『私はこれでいいや』『自分が好きだ』という感覚であり、小学4年生が最も高く、その後年々低下していく。
低下は、他者の意見を素直に聞けない、物事を否定的に受け止めやすいなどを生じさせる。
人間関係のトラブルやいじめの増加につながる。

前思春期の子どものこころ理解
・自分と他者の違いを感じ始める。
・心理的に親から離れ始め、不安や寂しさが高まる。
・寂しさ・不安が高まり、仲間を求めて集団化する。友だち関係のトラブルも生じるようになる。
・女児は、特定の子との親密な関係を求めやすく、他の子を排除する行為が始まりやすい。
・やがて、集団全体のために個人欲求を抑える協調性が芽生える。一方、衝動性・多動性が強い子は集団規律に合わせにくく、トラブル発生や攻撃対象になりやすい。
・現在の認知が過去の意味づけや未来の感じ方に影響するようになる。
・将来への予期が今の負担になり、今がしんどくなりやすい。
・知識と経験を組み合わせて考える力がつき、子どもらしいファンタジーのような、万能感が低下する。

前思春期・思春期の理解のまとめ
心身バランス変化、学習難度上昇、現実認識、親離れ、自他比較による自己肯定感低下、集団化による人間関係悩み、思春期の自分探しが重なる時期で精神的ストレスが強い。
いわゆる疾風怒濤の時期。

前思春期・思春期の支援の原則
多要因が同時に重なり、子どもは「生きるのがしんどい」体験をする。
大人は知識と見守りで心情(こころ)を理解し、適正なタイミングで適正な支援を提供する。
・学校内外の専門資源にアクセス
・保護者・教員への支援ルート整備
・症状の背後の心情見立てを優先
・過剰な抑制や即時解決志向を避ける
・適正な時期・方法で支援する
・心理・発達検査を含む専門的評価の上で、支援計画を家庭・学校・専門家が連携して作成・実施する必要がある。

セミナー(1)にご参加してくださったみなさま、感想のご提出ありがとうございました。
通信11月号でセミナー(2)の感想と一緒に、紹介させていただきます。

セミナー講師にインタビューをしました

子育てセミナー(2)は、森崎雅好さんと西真弘さんによるリラクゼーションセミナーを開講します。
当日は、臨床動作法という臨床心理学の領域の体験型セッションになります。
今回は、講師の一人の森崎さんに、セミナーについてインタビューを実施しました。

動作法を体験すると、日常生活でどのような活用方法がありますか?

親子での参加、家庭で活用
・親子で互いの身体に触れ合うことでスキンシップを深め、親子であるという感覚を再認識する機会になります。
・身体的な特徴の類似性に気づき、互いの身体への理解を深めることを狙いとしています。

学校や職場での活用
・学校の教室や保健室、職場で同僚と手軽にリラックスするための簡単な方法をお示しします。

災害時の活用
・災害時など急激なストレスがかかる状況でも、すぐに身体の緊張を緩めることができる手軽な方法を伝えることができます。

セミナーの目的は何ですか?

・日々の忙しさで忘れがちな自分の身体に意識を向け、気づきを得てもらうことです。
・身体のメンテナンスを行うことで、本来の楽な状態を体感し、自然と自信や安心感が湧くようになることを願っています。
・最終的には、参加者が「そんなに焦らなくても良い」「リラックスしていこう」と感じられるようになることを目指しています。

動作法を簡単に説明すると?

・生活の中で無意識に生じる身体のの緊張を意識的に緩めることを目的としています。
・人は頑張ったり気張ったりすることで筋肉が緊張し、疲労が蓄積しますが、この手法で本来の凝りのない状態に戻すことを目指します。

具体的な内容として、以下の3点が挙げられました。
・肩こりを緩める。
・首を緩め、360度しっかりと回せるようにする。
・足首を緩めることで、足裏全体で立つ感覚を得る。

子育てセミナー(2)、申し込みお待ちしています

【のこのこ子育てセミナー(2)】「リラクゼーションセミナー」
日時;令和7年10月19日(土)13:30~15:10
会場;白浜町立富田中学校柔剣道場(西牟婁郡白浜町栄320)
申し込フォームURL https://forms.gle/QtTBXKZvkBxjSJGL7

リラクゼーションセミナー こころの安心と安全を体験する

くまのっ子児童家庭支援センターのこのこ

和歌山県西牟婁郡白浜町3300-19-2F
TEL/FAX 0739-45-8818
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