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人がアートし、遊び、交わる場を作る

林 澄蓮 ( はやし すみれん )

和歌山県串本町、JR田並駅すぐそばにある田並劇場は映画の上映やアート作品の展示、音楽ライブなどさまざまなイベントを行うギャラリー&カフェです。

月・水・土曜日の午後のカフェ営業時に出迎えてくれるのは、田並劇場で代表を務める林澄蓮(すみれん)さん。

昭和25年に建てられた田並劇場は使われなくなって数十年が経ち、一時期は廃墟のようになっていた建物です。ありとあらゆる生活用品、大きいものは軽トラックなどの廃棄物でいっぱい、屋根は穴が開いて雨漏りし、ツタが絡まった壁は崩壊寸前、という状態でした。そんな状態からのリノベーションをたった2人、4年かけてやり遂げたのは現代美術のアーティストである林憲昭(のりあき)さんと、奥様の澄蓮さんです。

澄蓮さんは仙台市出身で日本女子大学家政学部住居学科へ進学とともに上京。在学中に草月流の師範、有賀千蕉氏に師事します。「茎蕉(けいしょう)」の名を受け、生花をベースにしたインスタレーションを行っていました。

当時の作品作りは彼女の子供時代の遊びに原点があったそうです。

「母も生花をしていました。庭で植物を育て、剣山に挿して美しく飾るけれど、枯れかけたら捨てられる。私はそれらを拾ってこっそりお花のお葬式をしていました」

花屋で草花を買い水盤に活けるだけではなく、捨てられたり放置されていたとしても彼女の目に「花」として映ったものを、それにふさわしい器を探して活けていました。
大学卒業後には建具職人の見習いを経験した後、美術モデルとして活動します。自分の感情を「花」とし、身体を器にして活けるモデルの仕事を通して、踊りの世界にも少し足を踏み入れました。

「もし結婚して家族と一緒に和歌山に来ていなかったら、身体を使ったパフォーマンスの世界を探究していたかも」と語ります。
夫の憲昭さんとは東京で、老朽化した建物の再生をしている現場で知り合いました。

「思えば初めからリノベーションの現場で出会っていた」と笑います。

憲昭さんがアーティストインレジデンスで和歌山県に滞在したのをきっかけに、2009年に家族で串本町田並に移住。2014年から田並劇場の再生に着手し始めました。

アーティスト同士として東京の地で、古くとも生かされるべき建物を通して出会った2人が力を合わせて再生した田並劇場。さまざまなアートがその場で光を放ち、新たなアートの種と人との交流が生まれるパワースポットとなっています。

「文化とアートをとおして、いろいろな人が楽しく交わりながら遊ぶ場を作るのが今の私の役目かな、と思っています。でもそのうち自分の作品作りも始めるかもしれません」

彼女のアーティストとしての活動にも期待が膨らみます。

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