こころの安心と安全を体験する– 通信のこのこ令和7年11月号(第8号)

みんなにおたよりプロジェクト

こころの安心と安全を体験する– 通信のこのこ令和7年11月号(第8号)

センター長あいさつ(藤藪庸一)

『お父さんお母さんがんばれ!』
最近は小中高校生、全員に学校でタブレットが配られ使用しています。
学校の予定もアプリに送られてきます。
あまりにも身近になった携帯やタブレット。
その使用を制限するのは、完全に家庭に任されています。
親御さんは、大変苦労しているのではないでしょうか。

不登校やひきこもり等の相談を受ける中で、昼夜逆転している話をよく聴きます。
携帯やタブレットによるSNSやゲーム、動画が原因となっているケースがほとんどです。
こどもから取り上げると反発も大きく、トラブルになることも耳にします。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏やマイクロソフトのビル・ゲイツ氏が、我が子にはデジタル製品に触れる時間を厳しく制限していたのは有名な話です。
彼らは、テクノロジーが子どもの好奇心を狭め、思考力に影響を与えることを懸念していたからです。
しかし、私たちの周りでは、子どもに持たせていない親が、厳しすぎると非難されます。
場合によっては子どもの人権に関わると言う人も現れます。

果たして正しい選択はどちらなのでしょうか。
社会が便利さに流されていく中で、家族の信頼関係の下に自分たちが正しいと思う選択をしていくことが求められます。
周りと違っても大事なことは大事と言える関係を家族で作っていけるかが求められています。
簡単なことではありません。

こころの安心と安全を体験する

のこのこでは、「資生堂子ども財団」の助成を受けて、「子育てセミナーの第二弾「リラクゼーションセミナー」を、10月19日(日)に白浜町立富田中学校の柔剣道場で開催いたしました。
当日は、最初に講義による説明を行い、その後に柔らかい畳の上で、リラックスするということを実際に体験してもらう機会となりました。

ストレス社会と呼ばれて久しい現代社会。
こどもたちも、不登校やいじめの問題等はもちろんのこと、生活の中での様々な緊張や精神的負担で、メンタルに不調をきたすことも、珍しいことではなくなりました。
大人も同様です。
子育て真っ最中のお母さん、お父さんは、わが子を育てるうえでの悩みや困りごとからストレスが日常的に生じてしまいます。

今回のリラクゼーションセミナーでは、
・日々の忙しさで忘れがちな自分の身体に意識を向け、気づきを得てもらうこと
・身体のメンテナンスを行うことで、本来の楽な状態を体感し、自然と自信や安心感が湧くようになること
・最終的には、参加者が「そんなに焦らなくても良い」「リラックスしていこう」と感じられるようになること
以上の3点を目的にして実施しました。
当日は、臨床心理士・公認心理師である森崎雅好先生、西正弘先生が講義と実践の両方で、会を進行していただきました。
冒頭の講義の内容を当日資料の中から紹介します。

【講義の内容】
※我々は、意志して動く存在。
こころの不調は、からだの不調にあらわれ、からだの不調は、こころの不調に現れる。
『こころとからだの合作:「動作」』
私たちは、死ぬまで、「動作」をしつづけるという存在。「動作」にアプローチするのが、臨床動作法。
『動作法の目指す感覚』
ストレスに負ける時…「私」がやられているとき。 「~された」、から、「~する」、へ。そして、実感。
『5つの自己への感覚→能動性へ』
(1)主動感:自分が自分のからだを動かしている。
(2)自体感:からだが自分のものである
(3)現実感:現実に、緊張し、動かしている
(4)存在感:自分がいまここに存在している
(5)自己感:主に自体軸をしっかりもてること、自己という恒常的な存在を実感する。

講義の後に実際に「ゆるむ」、体の緊張を解くことで心に余裕を生み、自然な眠りや安心・安定感につながることを体験してもらいました。
実技体験はペアワークで進行しました。
1.揉まずに10~20秒の軽い押圧と固定を用いた緩め、骨盤を立てる座位
2.前屈からの「胸を開きながら上がる」操作、骨盤と上半身の分離感覚
3.正しい首の回し方、側臥位での肩可動性向上
4.朝にする前屈トレーニング(股関節・胸椎伸展・膝裏伸展)
などを段階的に体験してもらいました。

参加されたみなさんには、前屈可動域の拡大、座位の安定(お尻が吸盤のように接地)、足裏の接地感・バランス改善、首の可動改善、仰向けで枕なしでも楽に寝られる姿勢の獲得などの変化を実際に確認してもらいました。
最後に、日常で使える安全なリラックス法と「座る」「立つ」「回す」の基礎動作を帰ってからもおさらいをすることを講師からのお願いとして、セミナーを終了しました。

セミナー(1)(2)感想集

9月に開催したセミナー(1)と今回のセミナー(2)に参加してくださった方々から頂戴した感想の一部を紹介します。

【セミナー(1)】

まず上野先生の人柄、そして自分がどんな子どもだったかのお話に興味を持ちました。
そこの部分に子ども理解のベースがあるのだと感じました。
症状の背景にあるものを大人が見定め理解し、関わっていくこと。
思春期の子どもの心がどのように変化していくのかを改めて学ぶことができました。
症状の中に成長の芽がある、どの言葉も印象に残りました。
是非、いろんな人に先生のお話を聞いてもらいたいなと思いました。
本日は本当にありがとうございました。
上野先生はじめ、スタッフの皆さんのおかげで有意義な日曜日となりました。

貴重なお話ありがとうございました。
前思春期、思春期のこどもの心理的特徴が理解でき、症状の背景にある原因を見定めて適切なサポートをすることの大切さを学びました。
事例からも気づきがたくさんあり、大変勉強になりました。
今後もこどもの話をしっかり聴き、こどもの安全基地となりサポートできるよう取り組んでいきたいと思いました。

講演ありがとうございました。
久しぶりに上野先生の講演をお聴きして、とても解りやすく、納得出来るところが多々ありました。
参加出来て良かったです。
思春期は本当に難しい時期だと思います。
その子どもたちをどう支えるか、日々こちらも悩みながら一緒に成長できたらと思います。

先生のお話に引き込まれて、もう終わり!という感じでした。
小学校4年生くらいからの心身の不調、小学校4年生の3学期に一歩が出なくて毎朝葛藤していました。
自我の目覚め、これだったんだなぁ。
こんな気持ちだったんだろうな。
親は、とにかく行かせることしか頭になくて今さらながらにごめんなさい。と思いました。
そしてゆっくりと親離れしていったんだな。
そこから次は女の子同士の中で、程よい人間関係づくりができる様になっていったのか。
と振り返りながらお話を聞かせていただきました。
子どもへの理解の大切さを改めて学ぶことができ、ありがとうございました。

小学校中学年から、こころの問題が出てくることが多く、不登校の原因となるようなことも、こどもたちの中では起こっていることを知りました。
こどもの成長だからこそ、あらわれる症状として、見守ることも大事ですし、その症状がこどものストレス源からきてるのであれば、アプローチすることも必要ですが、具体的にどうアプローチするかがむずかしいなぁと思いました。
もう少し話を聞きたかったです。

【セミナー(2)】

休日にとてもリラックスできる有意義な時間を過ごすことができ、大満足です。
自分自身が心身ともに楽になる体験をすることで、体のリラックスの大切さを再確認でき、人と関わる時の視点が広がったと思っています。
参加者同士、無理のない形で触れ合える本セミナーは仲間づくりの手段としても参考になりました。
ありがとうございました。

臨床動作法を楽しく学ばせていただき、実際に身体が緩む体験ができました。
とても面白いお話で、興味深く聞かせて頂きました。
まずは自分を緩め、また家族にも伝えられたらと思いました。
是非第二弾もよろしくお願い致します。

セミナーの内容もそうですが、先生のお人柄からとてもリラックスできる会でした。
ぜひ持ち帰って実践させていただきます。
ありがとうございました。

大変、よかったです。
臨床動作法という言葉を初めてきいたのですが、実際に実践することで、気持ちよさとホッとした気持ちを感じることができました。
自分が感じたこの感じを、ぜひ他の人にも感じてもらいたいと思いましたが、一度では、なかなか覚えきれませんでした。
ぜひ、またこのセミナーを開いていただきたいです。
ありがとうございました。

臨床動作法を初めて知りました。
身体を緩めることによって、心も緩み、ほんわかした気持ちになれること、また、災害や鬱気味などで、こわばった身体や心も癒せる方法であること、また、後程、質問をさせていただき、こどもたちの怪我の防止にも効果がある事も教えていただきました。
もっと、深く学びたいと思ったので、また研修したいと思いました。
動作法を知る・学ぶ機会を与えてくださり、ありがとうございました。

くまのっ子児童家庭支援センターのこのこ

和歌山県西牟婁郡白浜町3300-19-2F
TEL/FAX 0739-45-8818
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