記事 紀南NOVEL

  • 花火の夜と甘い誘惑

    紀南Good

    花火の夜と甘い誘惑

    写真:白浜花火大会(白良浜)、撮影:山﨑 千恵さんからん、ころんと鳴り響く、下駄の音。真っ白な生地に浮かぶ、水色と桃色の水玉模様。青い帯が映える浴衣に身を包み、私は、海斗(かいと)の隣を歩く。「美波(みなみ)の浴衣姿も、ええなあ」紺色の浴衣を着こなした彼が、さらりと、そんなことを言う。急に恥ずかしく
  • 夏の恋は、きらめいて。

    紀南Good

    夏の恋は、きらめいて。

    ――アドベン、行かへん?幼馴染みの海斗(かいと)から届いたメッセージ。聞き慣れた「愛称」と彼からの突然の誘いに、私は胸をときめかせた。バスを降りると、真っ白なエントランスが見えた。チケット売り場には多くの客が並んでおり、家族連れの楽しそうな話し声が聞こえてくる。「美波(みなみ)、行くで」海斗に呼ばれ