人の心を見つめ続ける、時代遅れの男でありたい
佐藤 由明 さとう よしあき
佐藤由明さんは愛知県出身。心理相談員として教育機関や社会福祉法人、企業などのメンタルケアや採用、研修などを担当してきました。
不登校、引きこもりの子供を対象とした洋上フリースクールのカリキュラム作成を行い、講師として世界各国を回る経験もしています。
現在は、メンタルヘルスケアを行う「株式会社ポエガ」を運営。他にも、子育てする母親のサポートを行う「トカゲ大学」の主催など、その活躍は多岐に渡ります。
2020年からは奥様の実家のある和歌山県那智勝浦町に、バー「El camino del poeta(エルカミーノデルポエタ)」をオープン。そして、いのちをテーマに熊野エリアを巡る旅「熊野いのちにつながる旅」をはじめ旅行業も行っています。
4人のお子さんのお父さんでもある佐藤さんは、詩人でもあります。彼は詩人として5000編以上の詩を創作。「言葉は心だ」との信念を貫いてきました。
カウンセリングではその人の心の奥底にある言葉にならない衝動を引き出し、本人に気づいてもらう必要があるといいます。そうすることでその人から逸脱してしまった自分自身を還し、自立をうながすのです。
ここで彼の言う自立とは、単に社会的自立のことを指しているのではありません。自分ではない何者かになろうとするのではなく、存在するそのままの自分で自分を支えられる状態、それが彼が考えている自立です。自分が自分でいていい、安心して自分でいられる、ということなのです。
「愛も憎しみも触れ幅です。善も悪も常識も非常識も、痛みも喜びも全部含んだこの自分でいても大丈夫、と思うことができれば、仕事をしようが子育てをしようが、何をしようが大丈夫でいられるんです」。彼のその言葉に、視界が明るくなるような感覚をおぼえました。
「自分で自分の感情を味わいつくした上で、全ての人が共通して持っている心の底にある、流れのようなものに言葉で石を投じ、波紋を広げられるのが詩人だ」と、佐藤さんは言います。人の心の衝動を呼び起こすカウンセリングと詩の創作の根っこにあるものは一緒、なのです。
「心理カウンセラーも詩人も、最終的にはなくなればいい仕事なんです。特に、カウンセラーに関して言えば、クライアントには自立してもらうことを目標にし、依存させないようにしなければなりません。でも、爽やかに自立して去っていくクライアントの背中を見送って、悲しい、切ない思いをたくさんしてきましたよ。悲しみ、切なさは痛い、しんどいわけです。だけどそれが相手には必要だし、僕もそれが好きなもんでやってるわけです。その悲しみを振り払うために夜ミラーボールの下で踊ります。」
人が好きで、心が好きで、と語る彼の元気の源は、自らの店で踊ること、そして、お客さんの話を聞くこと、なのだとか。
彼の詩「エルカミーノデルポエタの詩」から一節だけ、紹介します。
俺の心は俺のものだ あなたの心は誰のものだ? そんな魂の対話しかしたくない
ようこそ 心の果てのしずくへ
彼と魂の対話がしたい方、まずは勝浦のEl camino del poetaへどうぞ!