自営型テレワーカーとして「すきまワーカー」を脱出するためのステップ
自営型テレワーカーとは、クラウドソーシングなどのwebサービスの出現により、スキルや経験を積み上げ、資金を貯めて独立しフリーランスになる、という既存の流れではなく、気軽に仕事ができるようになり生まれた職種です。「(副業系)すきまワーカー」と呼ばれることもあります。
通常のフリーランスであれば、何かしらの形でスキルや経験・資金を貯め、ある程度業界のことを把握してからスタートしますが、自営型テレワーカーはPCやスマホなどのデバイス、そしてインターネット環境さえあれば始められます。その分、社会人として、また個人事業主として身につけなければならないスキルが不足したまま仕事を開始してしまうという側面があります。
【ステップ①】すきまワーカーのままか、フリーランスを目指すか。
まずは、それなりに続けられる、ということが必要です。できることからスタートしある程度進めたら、考えたいのは「すきまワーカー」のままでいくか、「フリーランス」を目指すか、ということ。
クラウドソーシングでは初心者も取り組める仕事がたくさん掲載されています。簡単なものではアンケートに答えるもの、簡単なライティング(文章執筆)を行うものが中心です。それらは取り組みやすいものではりますが、一定の稼ぎを超えることは難しく、どんなに時間をつぎ込んでも、月に数万円に届けば良い方だと思われます。
子育てや本業の合間に「お小遣い稼ぎ」として行う、社会とのつながりをつくる、という目的では行う意味はあります。それでいいんだ、という方はそのまま続けても問題はないでしょう。
もし、もっと稼ぎたいと思うのであれば、どこかのタイミングで目標を「フリーランス」に切り替える必要があります。
【ステップ②】身につけるべき専門スキルを決める
例1・クリエイティブ職(デザイナー・コーダー・ライター・エンジニアなど)
クラウドソーシングで受注しやすい仕事には、まずはクリエイティブ職が挙げられます。
・紙類などのデザインを行うグラフィックデザイナー
・webを作成するデザイナーやコーダー
・文章を執筆するライター
・システムやアプリの開発を行うエンジニア
などはこれまでの社会でも「アウトソーシング(外注)」が進んでいた業種で、その分仕事もたくさん存在しています。比較的安く、手軽にクリエイターを探せることから、これまでクリエイターに依頼していなかった企業なども使い始めています。
中でもwebライターは専門的なソフトや技術が不要のため、自営型テレワーカーに人気が高い職種です。その分、報酬も安くなりがちで、しっかりと稼ぐには工夫が必要です。
逆にデザイナーやエンジニアは専門的なソフトの使い方や技術を学ばないと仕事を受注することはできませんが、その分行う人は限られており、それなりの報酬を得ることができるといえます。
まずはライターからはじめて、クラウドソーシングになれた頃に、職種を変えて仕事する人もたくさんいます。技術を身につけてからやろう、と考える人は多いですが、そのほとんどが続かずにやめてしまいます。まずは職種に拘らずにやれることからスタートするのも一つの手だと言えます。
例2・入力作業(AIのアノテーション業務や軽微なデザイン作業)
インターネットの世界では単純な入力作業はほとんど姿を消してしまいました。たまにあっても、継続して受注することが難しい状態です。
その中でもまだ存在している作業としてはAIのアノテーション業務や軽微なデザイン作業などが挙げられます。
どちらも特殊なスキルは不要ですが、受注するのに「個人」では難しいという側面もあります。
入力作業は大量に発注されることが多い業種です。たくさんのワーカーがいると、ディレクション(進行管理)を行うのが難しくなるため、組織(企業・チーム)に発注したいと考えるクライアントさんがほとんどです。
そのため、どこかのチームに所属して受けるということが望ましく、そのチームを探して、所属するというハードルがあります。
例3・サポート業務(秘書・営業・事務・経理・コールセンターなど)
秘書、営業、事務、経理、コールセンターなどをテレワークで行えるようになり、募集がどんどんと増えていっている業種です。
この業種で難しいのは、一から独学で身につけるのが非常に難しい、という点です。実務経験がないと、採用もされにくい傾向です。通勤して会社の中で行う以上に、テレワークでこれらの業務を行うのはコミュニケーションの取り方にも工夫が必要になります。
経験があるという方は、非常に可能性の広がる分野ですので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
【ステップ③】〇〇な△△と名乗れるようにする
自営型テレワーカーに必要な力を「紀南のテレワーク」では、
●ICTスキル・リテラシー
●マインド
●コミュニケーション
と位置付けています。
誰でもいいからやってくれる人に発注するという「すきまワーカー」から、
『この人に発注したい!』という「フリーランス」になっていくためには、上記の力をあげていきながら、さらに
●専門的なスキル
を身につけていく必要があります。
どんなスキルを身につければいいでしょうか、とよく聞かれますが、基礎的なスキルを除いてアドバイスすることは非常に難しいことです。非常に多くの選択肢があるためです。
仕事を「アウトソーシング」するということは、「社内でやるべきではない仕事」か「社内に人材がいない仕事」です。そしてアウトソーシングする人は、日本全国からワーカーを探せる時代です。それにより「自社に合う」「思い入れを持った」「特化した経験を持つ」人に頼みたい、と思うようになります。
そうなるととても大切なのは「個性」。
自分にどういう特性があるのか、どのような魅力があるのか、自身がしっかりとつかんでいなければなりませんが、そこに自然と向き合える人は多くありません。
逆にスキルが低くともそこがわかっている人には役割があります。
スキルを身につけると一言で言っても、選択肢は無限とも思えるような数と組み合わせがあります。その中から「うまくいく方法」を選び取るのは至難の技です。選び取ったスキルが本当に身に付いて、自分の特性とうまく共鳴してくれるとも限りません。
まずは自分の特性や良さなどを知ることが必要です。自分を知るためには学んだり、仕事をしたり、とにかく行動しながら、社会や世界の鏡に写していかなければ自分自身は見えません。準備は大切な工程ですが、何を準備すればいいのかわからない、という段階で、まごまごしているのは準備ではありません。とにかく行動しながら、自分を知っていく工夫をしましょう。
そして「自営型テレワーカー」です、「デザイナー」です、という単なる肩書きで自己紹介するのでなく、「〇〇なデザイナーです」というように自分の様々な「タグ(個性)」を見せられるようになることが重要です。
【ステップ④】学び、協働するためのチームを見つけよう
自営型テレワーカーが集まり、チームとなるケースも増えてきています。どこかの段階で一人で学び続け、仕事をし続けるのは難しくなる段階があります。
また、子育てや介護、障害や病気を持っているなど、働くことにハードルがある場合には、助け合える環境は必須です。
学び、協働するためのチームを見つけて所属できると、仕事しやすい環境がさらに整います。
無条件で入れるチームもあるかもしれません。しかし通常はチームも維持するために入る人を選びます。その際に【ステップ③】で書いたような自分の特性を知っていることは必須で、ここがしっかりとわかっていないとチームに入れてもらえなかったり、長続きしなかったりするかもしれません。
チームに入ってみたけどうまくいかない、という場合、「チームが悪いんだ!」と思ってしまいがちですが、もし自分が成長したいなら「自分がどんな特性かよくわかっていなかったのかもしれない」と見直して、入るべきチームを選択することも重要なことです。また入りたいチームがなければ自分で作ってしまうのもありだと思います。
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自営型テレワーカーをずっと続けていくためには、工夫が必要です。
インターネットや仕事を取り巻く環境は変化し続けています。
しかしながら、テレワークという技術は、自分が納得して仕事がしやすい環境をつくるのには大きな手助けをしてくれます。上手に取り入れて、自分の働き方、生き方をつくっていきたいですね。