今見えている景色のその先へー「家ではたらくカレッジ」を受講して

家ではたらくカレッジ

今見えている景色のその先へー「家ではたらくカレッジ」を受講して

たまたまスーパーで見かけた「家ではたらくカレッジ」のチラシ。
「まだ幼い子どもたちの近くにいながら働けないか」と、ちょうど思っていたところでした。
「家で働く」という選択肢もあるんだなと思い、帰宅後、スーパーで買ったものを冷蔵庫に入れてから早速申し込みをしました。
まさか、「働くとは?」「自分とは?」「人生とは?」と問い続ける、ある意味過酷な半年間になるとは、そのときは思ってもいませんでした。

「自分でやってみる」ということ

「課題は今からチャットでお知らせします。
わからないことがあれば、チャットで質問するか、手を挙げてコーディネーターに聞いてください。
休憩もご自身のタイミングでとってください。では始めてください。」

「……!?」

3日間の「テレワーカー養成研修」初日のことです。
テレワークの概要を聞いてから、テレワーク疑似体験という時間。
てっきり家で働くためのノウハウを手取り足取り教えてもらえるものだとただ座っていた私は、いきなりの展開に固まりました。
周りをきょろきょろとしてみると、もうみんなパソコンに向かってなにかを始めています。
乗り遅れた私は、とりあえず課題の内容を読み、自分のできる範囲で必死に進めてみました。
わからないことがあったときは、コーディネーターさんの様子を見て、どきどきしながら手を挙げて質問しました。

これが疑似体験を通して初めて知ったテレワークの現実です。
誰も指示をしてくれません。
誰も察してはくれません。
自分で考えて、進めていかなければいけないという不安感や孤独感を体験しました。
しかし、この体験があったからこそ、「こういうことだったんだ」と、今テレワークの仕事をするなかで、改めて感じることができています。

まだまだわからないことばかりで、手が止まってしまうこともたくさんあります。
一人パソコンの前で「あ~!」とあたふたすることも。
そんなときは、とりあえず一呼吸して(おやつも食べて)、まずは「自分で調べてみよう」。
それでもわからなかったら、「チャットで質問してみよう」と、考えることができるようになりました。
パソコンの向こう側で助けてくださる方々の力をお借りしながら、少しずつ「自分でやってみること」を繰り返しています。
小さな成功体験が積み重なり、徐々に自分の自信へと繋がっていくことが、今はとても楽しいです。

「自分で選択する」ということ

「私、マイク嫌いなので使いません」
こうお話しくださった先輩ワーカーさんの姿が、とても印象的でした。
「マイクを使う・使わない」ということをなんでもないことのように、先輩方がそれぞれに「選択」されている姿。堂々と、でもとても気さくにお仕事のことやご自身のことをお話くださる姿に、私は惹き込まれていきました。

講義の中で、人の成長とは以下のことだと教えてもらいました。
「自分はこれでいいんだ」という自己肯定。
「自分の人生は自分で決める」という自調。
「自分のゴールと行動を自分で決められる」自律。
「相手の力も自分の力。自分の力も相手の力として自分の枠を拡大できる」互立。

お話くださった先輩方は、まさにこれらを体現されていました。
こんなふうに生きる姿は、周りを明るく、そして前向きな気持ちにさせてもらえます。

私は、「自分はだめだ」と思うことがよくあるし、自分で決めることが不安で、誰かに決めてもらった方が楽でした。
自分が持っている力がわからないから、ゴールなんて描けない。
人の目が怖い。人からの評判ばかりを気にしてしまう。
そんなふうに生きてきました。

私はこれからどう働きたいのか、人生をどう歩んでいきたいのか。
講義を受けていると、頭の中で疑問がぐるぐると問い続け、もうわからなくなってしまいました。
「自分の特性を知って、自分に合った働き方をしたい」と思うようになりました。

「はたらくカレッジ」が終わった翌日。
私は心理士の先生のところに心理検査を受けにいき、自分自身と向き合うことを「選択」しました。
「集いの場」で、「自分のタイプを知って合う仕事を見つけよう(特性)」「コミュニケーション上手になろう!(マインド)」という講義をしてくださった心理士の先生です。

講義の中で、テレワーカーとして働くことは、「選択の連続だ」と聞きました。
自由に働くか、従属的に働くか。
マニュアルがある仕事か、クリエイティブな仕事か。
マイクを使うか、使わないか。

日常のほんの些細なことにも、選択肢があって、私はまずそれに気付くことができるのか。
そして、自分で選びとっていけるのか。
「自分で選択する」ということは、たくさんの責任と、この先何が起こるかわからないという不安も伴います。

しかし、「鉛筆を転がしてでもいいから、とにかく決めること。そして行動してみること。それが何より大事」と、背中を押してもらい、まだよくわからないことばかりだけれど、私は「家で働く」という人生を選択しました。

「自律する」ということ

「自律する」ということが、私にはまだわかりません。
頭では言葉の意味はわかっていても、自分の実感として「自律」ができていないから、難しいような気がしています。

でも、この半年間、学び、考え続けた中で、わかったことがあります。
それは、お会いした先輩ワーカーさんたちのように、人々がそれぞれの特性を活かして、「楽しい」と思える働き方、自分らしい生き方ができたら、きっといい形で地域、そして社会がまわっていくのかなと。
だから、私もそのような働き方をしながら、この地域の中でできる役割を果たしていきたいです。

最初はただ、「子どもの近くで働きたい」と思っていました。
しかし、今は「私が私らしく、いいところも苦手なところも、すべての自分を受け入れたい。そして周りの人にも受け入れてもらい、楽しく働く姿を子どもたちにも見ていてもらいたい」と、思うようになりました。

「自分の芯を持ち、一つ一つの経験を積み重ねていった先に、新しい景色が見えるー」。
講義の中で何度も聞いたこの言葉が、私の心の中でいつも繰り返されています。

目の前にある一つ一つのことを自分で選択し、決定し、行動していった先に、今とは違う景色が見えるということを、今の私は思い描くことができます。
なぜなら、半年前にスーパーで、ただなんとなく「家で働きたい」と思っていた私と、今の私とでは全然違う場所にいます。そしてあのときは想像もできなかった、ハラハラもするけれど、ワクワクとした世界が、今目の前には広がっているからです。

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